「宇田川源流」 誰がハイチ大統領を暗殺したのか

「宇田川源流」 誰がハイチ大統領を暗殺したのか


 ジョブネル・モイーズ暗殺事件とは、ハイチ共和国で2021年7月7日未明に発生した暗殺事件である。

 もともと、モイーズ大統領が選出されるにはかなりさまざま事件があった。

 第39代大統領ミシェル・マテリの任期が2016年2月7日で終了することに伴い、後継の大統領を決める選挙が2015年10月25日に執行され、32.81%の票を獲得したジョブネル・モイーズと25.27%のジュード・セレスタン候補が決選投票に進み、12月27日に投票が行われる予定であった。しかし10月の第1回目投票で不正があったと抗議デモが発生したため決選投票が2016年1月に延期。その後も抗議は収まらず再延期となり、最終的に10月の選挙結果は無効となった。

 11月20日になってようやくやり直しの大統領選挙が執行され、モイーズが得票率55.67%で当選。この選挙に大きな問題は指摘されず、2017年1月4日に結果が確定。2月7日に就任した。2018年に議会総選挙が実施されるはずであったが混乱のため延期され、大統領令で政策を実行した。

 ハイチの大統領任期は5年のためモイーズは自らの任期は2022年2月7日までとしたが、野党勢力はマテリ前大統領が退任した2016年2月を任期の起点とするよう求め、2021年2月7日に退陣するよう抗議。折しもモイーズが約1年にわたって議会の承認を経ずに大統領権限を行使してきたことも批判の対象となった。野党の主張する任期切れの2月7日に政府はモイーズの殺害計画を含むクーデター計画を事前に阻止したと発表し、最高裁判事や国家警察幹部ら少なくとも23人を逮捕したことを公表した。

 任期の問題の他にも、政権内の汚職が絶えず、またギャングによる犯罪が野放しになっている現状に抗議するデモが度々発生していた。このことを受けて事件の二日前である7月5日には、モイーズが神経外科医のアリエル・アンリを新首相に指名している。

 さて、今から10年前の話であるが、いわゆる3・11の前、ハイチで大地震があり、自衛隊が派遣されることがあった。その時にちょうど民主党政権であったことから、自衛隊の武器運用に否定的である。上記のような混乱や武装蜂起が多くあった場所であるのに対して、武器、特に機関銃の保持を認めないなどというふざけたことを民主党政権は言い始めたのである。

ある意味で、終戦間際の特攻に違い精神を求めているが、そこまでの尊敬や必要性を全く持っていない状態での自衛隊への命令に、自衛隊は大きく反発している。

 その国でその国の大統領が暗殺されるということになったのである。


ハイチ大統領暗殺、犯行グループ4人を射殺

 【サンパウロ時事】カリブ海の島国ハイチのジョブネル・モイーズ大統領(53)が首都ポルトープランスの自宅で暗殺された事件で、警察幹部は7日、治安部隊が大統領宅で犯行グループの4人を射殺し、2人を拘束したと発表した。AFP通信などが伝えた。

 警察幹部は「4人の傭兵(ようへい)を殺害した。3人の警察官が人質にされていたが、解放した」と強調。ただ、容疑者の詳細や事件の背景などは明かさなかった。

 事件は7日未明に発生。自動小銃などで武装した犯行グループが大統領の私邸に侵入し、モイーズ氏と夫人を銃撃した。夫人は重傷を負い、米南部フロリダ州マイアミの病院に搬送されたが、命に別条はないという。

 モイーズ氏死去を受け、ジョゼフ暫定首相が大統領の職務継承を宣言するとともに、全土に2週間の戒厳令を敷いた。ジョゼフ氏はその後、ブリンケン米国務長官と電話会談。米国務省によると、ブリンケン氏は「ハイチの国民と民主的統治制度への支援を継続する」と表明した。 【時事通信社】

2021年07月08日 15時07分 時事通信


 2021年7月7日午前1時頃、ポルトープランス近郊にあるモイーズの私邸に武装組織が侵入し、モイーズは射殺された。ハイチの公用語はフランス語であるが、武装集団は英語やスペイン語を話していたとされている。事件発生はクロード・ジョセフ暫定首相が公表し、「残忍で野蛮な行為を非難する」と声明を発表したほか、国家の継続のためあらゆる手段が取られたとも述べ、冷静を保つよう呼びかけた。ジョセフ暫定首相は閣議後に2週間の非常事態宣言を敷くことを宣言した。

 大統領はその場で銃撃によって暗殺。大統領夫人は一時情報が錯綜したものの、重傷でアメリカに移送されたことが分かった。

 さて、このような事件があった場合は「誰が何のために行ったのか」ということが最も重要になる。そのことを考えるには、犯人を確保しなければならない。そもそもフランス語のハイチにおいてスペイン語と英語を話していたということを言うのは、傭兵を意味している。

襲撃した人物はアメリカ合衆国麻薬取締局(DEA)の捜査官を自称しており、DEAの作戦であるとしきりに叫んでいた。しかし、そのように自称しているからアメリカが犯人であるとは限らない。逆に、簡単にそのように言うこと自体が何か怪しいと感じる方が正しい場合は少なくないのである。

 警察当局による容疑者の殺害、身柄拘束の情報は事件直後から断続的に続けられ、7月8日になって実行グループはコロンビア国籍26人、アメリカ国籍2人の少なくとも28人にのぼることが明らかにされた。そして、7月12日にはクリスチャン・エマニュエル・サノン容疑者が逮捕され、米国の警備会社を通じて実行犯を集めた疑いがあるということも明らかにされた。

 一方、モイーズ大統領暗殺の実行犯と思われる複数の不審者が中華民国大使館の敷地内に潜伏していることが発覚し、中国大使館内で許可を得たうえで11人逮捕されている。

 ハイチがこれで再度国内の混乱をすることは間違いがない。同時に、ハイチの大統領暗殺をめぐる話が、外国にまで飛び火した一大陰謀事件に発展する可能性もあり、その責任をめぐって中国とアメリカ、コロンビアなどが大きく関係を悪化させる。

 過去に、第一次世界大戦も日露戦争も、要人の暗殺または暗殺未遂から発展していることが明らかであり、今回の事件がどのような国際関係になるかを注視しなければならない。

ハイチという、カリブ海の国であるからといって、日本は関係ないとは言っていられないのではないか。

宇田川源流

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